ロングトライアスロンの補給について

ロング完走への道 補給・栄養研究

ロングトライアスロンの経験がない人にとって、どうしたらいいのかさっぱり分からないのがコレ、補給だと思います。
いったい何をどれくらい摂ればいいのか、持って走るのかエイドを使うのか、そもそも持ちきれるのか??

こと補給についてはとにかく個人差が大きいと思います。なので、「レース前に試す、研究する」が大前提。誰かの真似をして成功できるものではない、と思います。

私の失敗例とそこから学んだことについてご紹介します。

しかし、これが誰にでもあてはまるとは全く思いません。私が自分の身体で人体実験をして見つけ出した私の結論なのです。
なので、皆さんもロングライドやロングランでできるだけ補給の実験をして、自分の結論に近づけて行ってください。



初ロングトライアスロンの人がやりがちな補給失敗例

私の初ロング(宮古島トライアスロン)の失敗例です。

ロング14時間の補給を検討するに当たってまず考えたのは消費カロリーです。
ざっと、スイムで500kcal、バイクで2500kcal、ランで2000kcal、計5000kcalと計算。
身体の脂肪で半分賄えるとして2500kcalのエネルギーがいるだろう。
ジェル(飲みやすくて好みだったワンセコンド)1個で165kcalだから、15個か。。。皆そんなに持つのかなあ?
まあ1時間に2個ってところだろう。12個トップチューブに貼りつけ+補給食袋に入れて、30分に一個飲もう。
ランはフルマラソンではジェル2個くらいだから、念のため3つポーチに入れておいて、あとはエイドを使おう。

こんな感じで用意しました。

私は胃がそう強くなくて固形物を受け付けないことは分かっていたのでジェルにしましたが、そうでない人はおにぎりや固形タイプの補給食で計算するかもしれません。

さあ、どうなったでしょう(笑)

見事に失敗しました。

予定通り30分に1個飲んでいたのですが、80㎞過ぎから空腹感が出てきたので計画より前倒しで飲むように。すると消化できなくなったのか胃が苦しくて呼吸がいつも通りできなくなりました。胃には残っているのに、力が出なくてハンガーノックを感じる、でももう手持ちのジェルはない、、、という恐怖。

苦しみながらもなんとかバイクフィニッシュ。(バイク関門時間4分前に)

ランでは胃が苦しくて何も口に入れられない。どんどん力は抜けて脚が出なくなっていく。エイドも全く何も手を出す気になれず、取るのはスポーツドリンクのみ。そしてそのスポーツドリンクでさらに胃が気持ち悪くなっていく・・・。腹部膨満感もひどく、ランポーチのベルトを相当緩めました。お腹も壊し、トイレは3回行ったと思います。

なんとか制限時間には間に合って(15分前)ゴールすることができましたが、ゴール後の気分は最悪。トイレに駆け込みました。お友達に誘ってもらって楽しい夕食もまともに食べられず。

その後数日、まともに胃が機能せず、食事が摂れなくて回復が相当遅れました。

 

ここでの失敗の原因は、

バイク前半で摂る量が(自分にとっては)多かった

ことだと思います。

  • 一度の量が多くて血糖値が急上昇、その後下降して空腹感が発生
  • 空腹感を「補給不足」と思いさらに前倒し気味に飲んだ
  • 結果、消化できる量を超えて胃に溜まった
  • ランでも胃に多量に残ったままとなり、上下運動で揺らされさらに不調が生じた

なお、初ロングの方に脅すつもりはないのですが、、、ロングトライアスロンでは、かなりの方が嘔吐の経験があるようです。特に暑い日のレースは体温が上がり消化機能も落ちる。しかし摂らないと動き続けられない。無理に摂って、結果、嘔吐です。(ほか、熱中症などの原因もあると思います)

翌年も似たような感じ。今でこそこのように分析できていますが、当時は「補給量が多かった」とは思わず、空腹感からむしろ足らなかったと判断し、翌年も多量の糖を摂ったのです。ドリンクの中に糖を溶かし込み(安い「粉飴」を使用)、給水とエネルギーを兼ねました。バイク中は良かったのですが、やはりランで一切摂ることができず、20㎞から脚が動かなくなります。

3年目は「糖は摂り過ぎてはいけない」ということを知り、糖の量は適切だったと思うのですが、エネルギーだけに気を取られ電解質摂取を疎かにし、(おそらく)低ナトリウムによって意識朦朧に。ランで完全に倒れ込み、制限時間ギリギリでゴールしました。

 

1年目2年目の失敗は、摂る量と摂るタイミングが適切でなかったこと。3年目は補給というより給水の失敗です。

ロングトライアスロンでは、初ロングの方だけでなく、多くの方がこのように補給を失敗して苦しみます。摂り過ぎ、摂らな過ぎ、摂る内容が合わなかった、摂るタイミングが合わなかった、気温に合わなかった(発汗量や体温によっても影響があります)、など。

練習ではできない運動時間、距離、気候なので、完全に予測したり練習したりすることはできないのですが、3時間4時間と練習するタイミングは必ず補給練習(というか実験)の絶好の機会とすべきだと思います。

本番しか高いからジェルは使えない、というのであれば、それは本番も使うべきではないと思うのです。試していないものを本番で補給に使うのはあまりにもリスクが大きいのではないでしょうか。

 

ロングトライアスロンの補給実験をしよう

3年目までの失敗を踏まえ、4年目はとにかく研究と実験を重ねました。結果、4年目は補給については大成功だったと思います。

どのような補給実験をして、その結果どうしたかを書きますが、あくまでもご参考まで。実際には各自練習で実験して下さい。(血糖値を測るまでしなくていいと思います^^;)

「トライアスロンを科学する会」石橋剛さんより様々な情報を得て、それを元に人体実験をしていきました。

  • クエン酸の摂取により脂質代謝割合を高め糖を節約する
  • 糖を摂取することで糖代謝に傾くため、糖は摂り過ぎてはいけない
  • 糖代謝に傾かないようインスリンが多量分泌されない量に抑えるのがよい(個人差があるが1時間に30g程度。一度にでなく分けた方が上がりにくい。)
  • ただし血糖値が70を下回るとパフォーマンスが低下する
  • 運動開始90分まで糖を摂取しないことによりグルカゴン(血糖値を下げる性質があるホルモン)が高まり脂質代謝に傾く。摂取し始めは90分を過ぎてからがよい。
  • 追加摂取した糖を消化して活動エネルギーにできるのは1時間当たり60g程度が限界。それ以上は無駄に胃腸の負担となるだけ。
  • 血糖値を上げやすい糖と上げにくい糖がある(最も上げやすいのはブドウ糖をそのまま)
  • 脂肪の摂取により脂肪をエネルギーに変えやすくなる

近場でのロングライド練習(3時間~4時間)を使い、毎回糖の種類や量やタイミングを変えながら、30分や1時間おきに血糖値を測りその数値と感覚、疲労感、速度などをを記録していきました。

結果、

  • 低強度であれば糖の摂取なし&脂肪のみ(ココナッツオイルを使用)でも運動を継続できた
  • しかしレース強度となれば糖を補給しなければ90分以降明らかにパフォーマンスが落ちた。糖の補給自体は必要
  • 1時間につき30~40gの糖の摂取で血糖値は保たれた。(約20分毎3回に分けて摂取)
  • しかし粉飴(マルトデキストリン)は反応が遅く、摂取しても血糖値が下がってしまうことがあった。ブドウ糖タブレットとの併用によりコントロールできた。



補給の実験結果をレースに反映

この結果をレースにも反映しました。

  • 溶液は水でなくOS-1に。クエン酸も少し入れて飲みやすく
  • 1時間あたり30g(バイクタイム7時間分210g)の粉飴を1ボトルに溶かす
  • 自分の嚥下量を測り、1口あたりどれくらい入るかを計算して飲むタイミングを決めた
  • 1時間に1個ブドウ糖タブレット(3g)
  • 2時間に1個ココナッツオイル分包

給水は別。エイドで水を取り、電解質パウダーかOS-1の粉を混ぜて「飲み過ぎに注意しながら」飲みました。飲み過ぎないように、エイドで水をもらったら先に身体にかけるようにしていました。

結果、バイクでは胃の不快感がでず、呼吸も妨げられず、最後まで力が落ちることなく走ることができました。おかげで後半はかなり抜きっぱなしになりました。

こちらにも纏めていますのでご参考下さい。

これは本当に例です。
でも、7回程度のロング練習で実験して自分の結論に至っています。今から毎週やれば、レースまでに十分間に合うと思います。

繰り返しますが、補給の練習をすべきだ、ということです。

3時間4時間練習しても、コンビニに寄って適当に食べたり、仲間とグルメライドをしていては補給については何も得られることがありません。

「ロングの大会では何をどれだけ摂るのか」と検索するまえに、今週のロング練習から実験を開始してみてはいかがでしょうか。サイクルジャージのポケットにおにぎりやジェルやスポーツ羊羹を入れ、決めた時間で決めた量摂り、その後何時間走れたか、パフォーマンスはどうなったのか、などなど。

補給については、自分自身で探るしかないのです。

 

以上、ロングトライアスロン補給例をご紹介しました。

私が補給に使っているものです。全て練習から使うので、安価なものに限っています。

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