TTB解説(8)週間トレーニング計画を作成しよう
前回までで、年間のトレーニング計画作成をやりました。
レース予定を書き入れて、優先度をつけて、最初の優先度Aのレースに向けて期分けを行いました。そして各週の目安となるトレーニング量(時間かTSS)を書き入れました。
では、その中身を作っていきましょう。「週間トレーニング計画」の作成です。
ここでは、以下のような流れで解説してありました。
1.各期の位置づけ(ウエイトトレーニング)
2.各期の位置づけ(スイム・バイク・ラン)
3.各期へのトレーニング内容のあてはめ方
4.トレーニング量をどう週に分配するか
5.トレーニング内容の割り当て
6.割り当て時の注意や個別のメニューの解説など
これまでのところと違って、かなり具体的な例を数多くのパターン紹介している章なので、ここは要約や解説は非常に難しいと思います。一部のみの紹介では、本当にメニューに取り入れようとする方には役立たないし、メニューに取り入れようと思っていない方には特に役立たない情報だからです。前後なくポイントのみの情報ではミスリードを招くという危険性もあります。
ですので、もし本当にこの本でメニューを作成しようとしている方は、迷わずご購入され、ご自分でこの章を読んで計画表に当てはめて下さい。
今回は、この章を読んで内容を取り入れた、私のメニューをケーススタディとして取り上げたいと思います。一つのパターンとしてお読み頂ければと思います。
各期・各週に何の目的としたトレーニングを当てはめるか
前回作ったATP(年間トレーニング計画)表の右側を埋めていきます。ポイントをまとめると以下のようになります。
準備期:
ウエイトトレーニングに集中。あとは練習のための練習。【有酸素持久力】【スピード技術】の枠にチェック。
基礎期1:
ウエイトトレーニングを強化。3種目の練習はとても弱く。【有酸素持久力】【スピード技術】の枠にチェック。最終週に【テスト】。
基礎期2:
ウエイトトレーニングを軽く。3種目の練習で、作った筋肉に動きを加えていく。【有酸素持久力】【スピード技術】【筋力】【筋持久力】の枠にチェック。最終週は【有酸素持久力】【スピード技術】【テスト】。
基礎期3:
基礎から応用への移行。レース特化のトレーニングを加えていく。【有酸素持久力】【スピード技術】【筋力】【筋持久力】の枠にチェック。各エイジの上位クラスや、対象レースがアイアンマンディスタンスの場合は【無酸素持久力】にもチェック。
最終週は【有酸素持久力】【スピード技術】【テスト】。
強化期1・2:
対象レースに特化した練習を行っていく。3種目全てで、瞬発力を除く全ての枠にチェックを。
1回の練習で複数のアビリティのトレーニングをする。基礎能力のトレーニングは、練習のアップとクールダウンの時間に、メインセットは筋持久力、といった感じになる。短い距離のレースの場合は無酸素持久力をメインに。最終週は【有酸素持久力】【スピード技術】【テスト】。
ピーク期:
強度をレースの強度に近づけ、トレーニング時間を減らし調子を上げる。【筋持久力】のみチェック。(短いレースの場合は【無酸素持久力】も)
レース期:
レースに向けて休み、非常に短くレース強度の練習だけを行う。【筋持久力】のみチェック。
移行期:
精神と肉体の充電期。どこにもチェックをしないでリラックス。
ケーススタディ)私のATP表にこのように色を付けました。
これをベースとして、各週のトレーニング内容を決めていきます。
トレーニング内容のあてはめ方
以下の流れを参考に、基礎期と強化期の週のトレーニングパターンを作っていきます。
1.曜日や時間が決まっている練習を埋める
スイミングのレッスン、チームの集団練習、定期走行会など、曜日や時間が決まっている予定をまず入れます。(集団練習の強度には注意。自分の計画上の目的とあった練習になるかどうか。)
ケーススタディ)私は特にレッスンを入れていないし、バイクの集団練習も強すぎて今はむしろ毒になってしまうので当面参加することはないと思います。ただ、子供の習い事の関係で水曜だけは長く泳げるので、水曜にスイムの長い練習を入れることにしました。
2.ブレイクスルー(BT)練習を書き入れる
週のトレーニングの中で最も負荷が大きく、体力を構築する最も重要な練習。全てはこの練習の効果を最大化するように組み立てます。その内容は期やリミッターによって異なり、例えば、基礎期のBT練習は有酸素持久力や筋力であるため、それぞれ、適度な強度の長い時間の練習や、負荷が高く短い練習が当たります。強化期では筋持久力と無酸素持久力で、高い強度で負荷も高い物となります。負荷の高さや年齢、経験年数などによって、週に何回実施できるかも変わります。始めたばかりであれば週に1-2回から始めましょう。
3.BT練習以外のリカバリー
次のBT練習までに回復できるようにその他の練習(リカバリー)や休みを書き入れます。
ケーススタディ)まず基礎期。鍛えたいのは、スイム:技術、筋力、バイク:技術、筋力、持久力、ラン:技術、筋力、持久力。技術と筋力は「短く強いダッシュやインターバル」で育てようと思います。
スイム:100*5*2を自分の最大負荷&レスト多めで。(1:25/2分サークルくらい。FTは1:33です)これをメインセットにしたBT練習日を水曜日に入れます。スイムのBTはこれだけです。
バイク:同じく短くレストの長いインターバル。重いギアとハイケイデンスを織り交ぜて90秒×10セット。それ以外はゾーン2で有酸素持久力。
週末にロングを。ゾーン2でじっくり時間を伸ばしていく。イージーにはしない。比較的交通量が少ない日曜を選択。
ラン:同じく短くレストの長いインターバル。筋持久力目的ではないので本数も少な目でメインセット2㎞のみ。前後はゾーン2で有酸素。
土曜日にゾーン2のロング。
この5つをBT練習として置く。その他は全てイージーかレスト。
こうなりました。
次に強化期。基礎能力が育っていると仮定して、3種目とも筋持久力に集中。ゾーン4-5aのインターバルをメインに持続時間を伸ばしていく。バイクのみ2回。BT練習は計4回、それ以外は全てイージーかレスト。
こうなりました。
次にボリュームを当てはめます。本の表から読み取り、自分の生活時間にアレンジ。
時間で組み立てる人は時間で。
私は今期はTSSをベースにしてみます。TSS表を読み取ります。
月曜はオフにするので月曜の分を他の曜日に割り振りました。
そして、自分が設定したトレーニング内容×その日に割り振られたTSS(時間)から、内容を決めます。時間ベースであれば、「ゾーン2で60分」などと設定すればいいので簡単なのですが、TSSだとそうはいかない。強度によって何分やればいいかがかなり変わります。
そこで、各種目、そのゾーンで何分練習すると何TSSになるかという一覧表を作ってみました。ペースやパワーのFTに対する割合でIF(強度係数)を出して、その二乗×分(60分=100)でTSSを出しています。
これを見ながら、メニューに当てはめて行きました。
まずは基礎期1と基礎期2だけ。やりながら調整しつつ続きも作って行くことにします。
ついでに、TrainingPeaksに予定登録もしておきました。1週分つくればあとはコピーして差分を編集していくだけなのでそう時間がかかりませんでしたよ。
入れた予定を遂行すれば体力や調子がどう推移するかも一目瞭然。これはモチベーション上がりますね。
ここに至るまでに第8章の大量の英文を読み取ったのですが、そのポイントだけを解説はできない(人に依って何がポイントになるか違うので全文掲載になってしまう笑)ので、このような形で紹介させて頂きました。
決して簡単にできる作業ではないので、ここを苦痛に感じる方は完成させるのが難しいと思います。しかし、メニューを完成させる必要はなく、ただの自分だけのガイドライン作りなので、肩の力を抜いて取り組んでみられてはいかがでしょうか。
以上、第8回、「週間トレーニングメニューの作成」ケーススタディをしながら解説しました。次回、Aさんのメニューを同じくケーススタディで紹介します。
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