スポーツ大会運営マニュアル作成講座(サンプル2)いかに想像できるか

仕事・副業

次に設計作業。何をどうやるか、を決めます。

まず抽出した要求と制約を整理して、要件に落としていきます。

丸をつけたり色を変えたりしながら優先度を付けていきます。MUST(そうでなければいけない)、WANT(そうであったらいいな)、NEVER(そうであってはいけない)という視点で整理していくといいです。

荷物預かりだと、

MUST)実現して当たり前
A:間違えずに返却すること
B:選手を待たせ過ぎないこと

WANT)実現すると満足度が高い
C:預ける手間がかからない
C:預かった荷物が見つけやすい

NEVER)実現しないとトラブルに
A:違う人に返してはいけない
A:荷物を無くしてはいけない(荷物の一部含む)
A:荷物を汚してはいけない

あたりでしょうか。
ではまず最優先事項である「間違えずに返却する仕組み」を考えます。

・預ける人と荷物を照合する
荷物にその選手のものであるというマークがあれば良さそうです。荷物にレース番号や名札をつけ、選手ににはそれを証明するものを持ってきてもらいます。何がいいでしょう?

取りに来るとき、選手はレース直後です。何も持っていません。では、証明するものは、レースナンバーしかなさそうです。大きな大会ならリストバンドがありますね。
※ここで、「リストバンドがある」ことを把握していないと最適な業務設計ができないということになります。設計前には基本的な大会情報の把握が必要ですし、知らされていないなら「リストバンドは付けるのかな?」と思いつくかは選手やスタッフの大会経験がものを言います。

選手側はレースナンバーでいいでしょう。では荷物は?
それ用のステッカーがあれば荷物に貼れますね。
・荷物預かり用のステッカーを作れないか?

これだけを別発注するとお金がかかりそうです。「ヘルメットステッカーが2枚あったらそれを荷物預かり用に使えるな」これを思いつくのも選手経験。自分が思いつかなくても、運営メンバー誰かが思いつけばいいのです。「荷物を識別するステッカーをどう作るか?」次の会議の議題に入れておきましょう。

ステッカー以外の手段も考えます。飛行機の荷物預けではタグを付けていますね。あれはどうでしょう?タグのコスト、見やすさ、外れないか?タグならナンバーはどうする?選手に書いてもらう、どこで?いつ?「荷物用タグを用意して預ける前に選手にレースナンバーを書いてもらって荷物に付けてもらう」一案できました。実際、そう大きくないマラソン大会ではこうしているところもありますね。マラソン大会への参加経験が生きてきます。

いくつか案ができました。
ではそれぞれに、優先度の高い要求が満たされているか、どう満たすかを考えます。

タグは「手間がかからない」「荷物を見つけやすい」で劣りそうです。でも安く済みます。
タグもステッカーも、「荷物をなくしてはいけない」「荷物を汚してはいけない」を満たしていません。荷物をカバーする袋がいりそうです。

「荷物を袋に入れてもらって、それにステッカーかタグをつける」を案に追加します。
次に預かる場所です。「汚れない」よう、屋根のあるテントの下(雨天時対策)に、ブルーシートを敷く、でしょうか。「なくしてはいけない」のためにテントは横幕を貼りたいところですが、そこは大会規模や予想される利用者数により、ボランティア人数でのカバーもできそうです。(でもボランティア3人より横幕の方が安い)

テントの大きさは?予想される利用数の荷物を詰めて置いたらどれくらいの面積になるか?テントの大きさはネットで調べられます。他大会の例を聞いてもいいでしょう。

対応人数は?最大瞬間風速として単位時間に何人選手が来ることが予想されるか。最初のカテゴリのスタート人数を〇分で処理するためには1件〇秒で何人必要か?
こうして案を作り業務のイメージを固めていきます。案Aならボランティア何人、や、費用概算が出ていれば決定が早そうです。次の会議での議題として持っておきます。

会議もミーティングも頻繁でなく、小規模な大会なら決裁者(レースディレクター)に直メールで「検討事項」として一覧で送って判断してもらってもいいでしょう。あっさり「ほとんどいないだろうから、白いガムテープを貼ってそこにナンバーを書こう」と決まってしまうかもしれません(笑)
このようにして大枠が決まれば、あとは細かく運用に落としていきます。

タグにナンバーを書いたり、選手が袋に荷物を入れたりするのはテーブルがあった方が作業しやすいから長机1台予備品に追加しようとか、記入するためのマジックが何本いるかとか。最初に抽出しておいた要求とその優先順位が役に立ちます。

ただし、この時点で細かく全てを決める必要ありません。選手数が読めなかったり、関連する内容が決まっていなくて確定できないことも多々あると思います。決めないといけないことを洗い出して一覧にしておくと良いでしょう。
というようなことを行って、それぞれの業務の設計をしていきます。

難しそうに感じられるかもしれませんが、結局はその業務を想像できるかどうかなのです。そのためにいろんなパターンを見ておく知っておく。普段から色んな業務のやり方にアンテナを立てておくと良いでしょう。ランチで行くお弁当屋さんのお釣りの渡し方一つにもヒントが隠されていたりしますよ。
あとは、マニュアルにするだけです。分かりやすい言葉や表現を心がけて、業務を「作業」に落として解説していきます。

次はそのやり方を書きますね。

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