TTB解説(7))トライアスロンのシーズン計画を作成しよう(後編)

トライアスリートトレーニングバイブル解説 トレーニングピークス解説 トレーニング研究

年間トレーニング計画の作成、後編です。

目標を設定し、年間トレーニング量を設定するとこまでやりました。続きです。

 

4、レースの優先度を設定する

あなたが出場する予定のレースを書き入れて、それぞれ優先度を設定します。

atpex04

なお、前回載せたこの表にはすでに日付が書いてありますが、宮古島トライアスロンをターゲットにしている人などにはシーズンスタートが遅いものとなっています。適宜書き直して下さい。

日付は全て月曜日です。月曜日始まりの1週間で考えています。基本的には1週間でいいと思いますが、9日間を1セットする方法もあります。

現時点で予定しているシーズンのレース予定を書き入れましょう。
そして、その横に、そのレースの優先度をA・B・Cで設定します。

優先度Aのレースに対して、シーズン計画を作成します。優先度Aのレースは3つ以内にすることを強く推奨します。そうでなければテーパー期間がうまく設定できないからです。

優先度が違うと計画上、何が変わるのでしょうか。それはテーパーの期間です。優先度Aのレース前には2-3週のテーパーを取り、ベストパフォーマンスを目指します。優先度Bのレースでは2-5日のミニテーパー、優先度Cではペーパリングを行いません。通常の強い練習前の過ごし方と同様です。

優先度Aのレース前に十分に体力を回復し、テーパーを行うためには、次の優先度Aのレースまでには最低12週取りたいところです。移行期1週、強化期から再開して強化期1、強化期2、ピーク期(テーパー)、レース週、で12週です。
(これに当てはまらない場合のケースについても記載がありますが割愛します)

優先度Aのレースが長いレースであるほど、Cのレースは少なくしましょう。アイアンマンは多くのロングトレーニングをやるべき(特にバイクで)ですが、それができるのはたいてい週末です。レースは週末に行われるため、Cレースが多いと競合してしまうのです。

アイアンマンレースが目標なら、最適なのは優先度Bのレースを1つだけ入れることです。ハーフアイアンマンレースを12週前に入れるのがベストです。(そんな都合のいいことができるか分かりませんが^^;

 

5.シーズンを期分けする

次に期分けを行います。表の「期」の列に書き込んでいきます。

通常は、各at05期の構成は以下のようになります。

・基礎期:1~3
基礎能力の構築。体力を上げる週が3週・レストが1週の4週で1セット。基礎期1から基礎期3まで3セット。

・強化期:1~2
応用能力の向上。同じく3週1週の4週が1セット。強化期1から強化期2まで2セット。

・ピーク期:2~3
レース前のテーパリング(トレーニング量を減らし調子を上げる)。2-3週。通常2週でいいでしょう。

・レース期:1
レースがある週。疲労を抜き調子を整える。

最初の優先度Aのレースから逆算して配置していきます。基礎期の前に期間が余るのであれば「準備期」としますが、まだオフにしていてもいいでしょう。

 

 

期分けのアレンジについて少し説明します。

・第4版のP100の表では、年齢が50歳を超えるか超えないかで基礎期・強化期の週数を変えています。50歳以上のアスリートには、2週+1週の3週サイクルを推奨しています。これは、回復力に差があると考えられるからです。年齢以外にも、疲労と溜めやすい人や大きな故障明けなどの場合に適用するといいでしょう。
回復力は、主にホルモンの生成量が関係しています。テストステロン、エストロゲン、インシュリンなど。これらは年齢によって生成量が減少します。ホルモン量が減少すると回復が遅くなるため、リカバリーに多くの時間がかかるようになるのです。これが、だいたい50歳を境目としています。
もちろん多くの50歳以上のアスリートが、若いアスリートよりも早く回復しています。経験によって適用を決めてください。

・リカバリーの日数については、「1週」としていますが、「4日~7日」と考えてください。まず4日として、それでも疲労が残っていれば延長すればいいのです。

・全くの初心者で初めてのシーズンなのであれば、基礎期だけで組みましょう。基礎期3を繰り返します。

・この一般的なモデルでは、基礎期には基礎能力を積み上げるため応用能力のトレーニングはあまり行いません。しかし、アイアンマンディスタンスのエリートやエイジトップ選手では、基礎期にも無酸素持久力のトレーニングを組み込みます。これは、有酸素容量のアップを狙ったものです。強化期には筋持久力の向上に特化し、LT以下のトレーニングを重ねます。

 

2つ目3つ目のレースに向けての期分けについては、最初のレースと同じように進める期間はありません。先のレースの翌週を「移行期」とし、次に、レースから逆算して、レース期、ピーク期と埋めます。残りを「強化期3」の繰り返しとします。

 

6.週毎のトレーニング量を設定する

時間やTSSを週毎に分けましょう。

atp07

第4版では時間ベースの設定がP103、TSSベースの設定がP104にあります。

(この表には両方の列がありますが、通常片方です。TSSベースであれば時間はあくまでも参考値です)

 

第3版には時間ベースの設定がP198-199にあります。

 

以上でシーズン計画の設定は以上です。次回、週間トレーニング計画を行い、各週に何を行うかを計画していきます。

TTB解説(番外)シーズン計画の作成(ケーススタディ)

トライアスリートトレーニングバイブル解説 トレーニングピークス解説 トレーニング研究 これまでのところを踏まえて、2人のケーススタディをやってみたいと思います。 一人は私。トライアスロン6年目。ロング5年目、40代女性、エイジ上位を狙う、というプロフィール。 もう一人は、トライアスロン3年目、ロング初めて、30代男性、まずは完走を目指す、というプロフィール。 …

人気記事 「トライアスロンは痩せますか?」への答え

人気記事 社内にトライアスロン部・サークルがある会社【社長が部員な会社も!】

« »