TTB解説(2)トライアスロントレーニングのポイント

トライアスリートトレーニングバイブル解説 トレーニング研究

トライアスリートトレーニングバイブル解説、第2回です。
第1回はこちら。

なお、しばらく理論部分のピックアップなのでここだけでも内容が分かりますが、トレーニング内容やゾーン設定など具体的な内容になってきたら本がないと読み進められないと思います。英語でもイケルって方は第4版の購入をお勧めします。

第3版は日本語であるのですが、もう購入は難しいと思います。
メルカリとかなら出てるかも。

トレーニングの前に考えておくべきこと

さて、「心構え」とも言うべきメンタル面の前置きの後、身体のトレーニングの説明に入っていきます。
ところが、すんなりとは理論解説はしてくれません(笑)さらに「心構え」話は続きます。

成長の可能性があるか

過去、トレーニングをうまく構築できなかった人や、練習をこなせなかった人は、大いに成長の可能性があります。しかし、今シーズン成長できるかどうかは、あなたにかかっています。同じような失敗をしないために、「精神的にタフ」で「目的を持ってトレーニング」できるかどうかに

目的を持ってトレーニング、がポイントです。

一貫したトレーニングをしましょう

モチベーションの高いアスリートほど、トレーニングをやりすぎてしまいます。頻繁に、高い強度で、長い時間・・・。まだまだ充分じゃない!、もっとうまくやりたい!、そんな考えが故障や体調不良や燃え尽きの元です。そのような欲求を抑えて「我慢強く」、ルールにそって一貫したトレーニングを行うことで、トレーニング量を減らしても高い成長をすることができるのです。

多くのアスリートが、肉体的なピークを押し上げるには毎週毎週限界に達するべきだと誤解しています。休養することを嫌います。その結果、ひどい疲労感や膝の故障、繰り返される風邪によってトレーニングを減らすことを余儀なくされ、結果、成長できていないのです。

節度をもって一貫したトレーニングをすることが、体力とパフォーマンス向上の鍵です。節度をもってトレーニングしていれば、より強い負荷やより長い時間が「適切な」負荷や時間になっていきます。去年ハードだったことが、今年はちょうどいい負荷になる。そのためには、一貫して忍耐強くあることです。

一貫したトレーニングをしていれば、頻繁に練習を休んだり飛ばしたりすることがなくなります。高い強度でやりすぎず、長い時間やりすぎず、やることを詰め込み過ぎず、節度をもって一貫したトレーニングをすることです。

耳が痛い人はいませんか?(笑)
私のロングトライアスロンの1年目が、まさにこれでした。鉄人レースと呼ばれる世界に足を踏み入れるのだから、もっと長く、もっと強くトレーニングをして身体を鍛えなければ!そのような考えから、もっともっととトレーニングをし続けました。結果、毎週のように体調を崩し、常に疲労感と戦っていたのです。

欲張るのではなく、一貫したトレーニングを。
それが、長期に渡ってトレーニングを中断する事態をさけ、結果として目標に近づくことになるのです。

節度をもったトレーニングをしましょう

ちょうどよく加減されたトレーニング時間・強度・頻度が、結果として成長に導きます。

・過去実施して、自分が完遂できると分かっているところまでしかしない。増やしても+10%まで。
・素早く回復して次のスケジュールに問題なく移れると分かっている範囲にする。
・48時間以内に完全に回復しない練習は強すぎる。もっと我慢強くなるべき。

また、レースに向けてスケジューリングされている計画に従って、徐々に進歩していかなければいけません。ハードな練習ができる準備が整わないうちにやっても失敗のもと。目標に向けて自然にゆっくりと上げていけば、その時がくれば身体の準備が整っています。

私はこの本に従ってトレーニングしてきて、基礎期の最初はとても緩く退屈なトレーニングが続きイライラすることもあったのですが、それを我慢して計画に沿っていれば、ちゃんと体力が向上してくるのです。強く長いトレーニングも楽しんでこなせるようになってきます。最初から欲張らない。それには、直近に自分がこなせたトレーニングをベースにすることです。

目的のあるトレーニングをしましょう

全てのトレーニングには目的があります。常にその目的を明確にもち、それに沿っているかを意識しながら行うことが、最も効果的な結果を生みます。

目的のあるトレーニングは4つのプロセスの繰り返しです。

1、目標・目的を明確にする
このシーズンの目標を明確にします。そこが曖昧だと目的のあるトレーニングが難しくなります。
シーズン目標に向かうすべてのトレーニングには目的があります。「筋持久力向上のためにゾーン3で20分間走る」「回復のためにゾーン1で1時間のライド」といったものです。
目的を明確にすれば意味のないトレーニングを避けることができます。目的のないトレーニングは乏しいパフォーマンスしか生みません。どんな練習をする前にも「この練習の目的は何か」と問いましょう

2、目的のためのトレーニングを知る
トレーニングの目的はシーズンの目標に合っているべきです。しかしそのプロセスは複雑で、どのようなトレーニングをすれば目的に沿っているのかを知るのは簡単なことではありません。コーチやスクール、トレーナーなど、専門家に習うことが近道です。オンラインで購入できるトレーニングプランでもいいでしょう。
トレーニングの知識があればセルフコーチングでも構いません。しかし多くのアスリートが正しく学ぶことなくセルフコーチングし、よく失敗しています。
専門家から提供される内容とは、「どのような長さでインターバルを行うか」「どのような強度で行えばいいか」「どのタイミングで強い練習をするか」「どのようにスキルを改善するか」などです。頼れる専門家はいますか?

3、特化した練習をする
トレーニングの目的を明確にし、それに沿った練習の詳細が分かったら、それに特化して練習をすることです。計画された練習を実行することに集中します。この練習で何を達成すべきか、それに厳密に従った練習をします。もしその内容が複雑なのであれば、練習途中に確認できるようにメモしておくべきでしょう。

4、素早く振り返る
トレーニングの後には、素早くその内容や結果を振り返りましょう。最も効果的な方法はコーチからフィードバックを受けて次の適応方法を尋ねることですが、全ての練習でコーチがそばにいるわけではありません。アスリートは常に自分のトレーニングやその結果や何が起こっているかについて分析的であるべきです。常に「この練習の目的を達成できていたか」という答えを探るべきなのです。

全てのトレーニングをステップ1から沿って行っていれば、1~4は円を描き、次の練習のステップ1に進むことができます。しかしその前に、シーズン目標への進捗を確認しましょう。計画通りに進んでいれば次に進みますが、そうでなければトレーニング計画は調整しないといけません。

技術を活用しましょう

練習が当初の目的を達成しているかを分析するのに、技術が役立ちます。時間と強度を計測する技術です。時間は時計やストップウォッチがあればいいですが、強度を計測するためには専用のデバイスが必要です。ハートレートモニター、GPSウォッチ、パワーメーターです。もし高いレベルのパフォーマンスを達成したいのであれば、これらのテクノロジーを活用すべきです。
中には感覚だけでトレーニングできるアスリートもいますが、これらの技術を活用しなければ、どうやって過去のデータと比較したり、レースデータを分析できるでしょうか。この本ではこれらの3つの技術とRPE(主観的強度)を使うことを前提に記述しています。

私が強く強くお勧めするのは、パワーメーターです。
パワーメーターなんて速い人や強い人が使うものと思っていませんか?違います。パワーメーターは「自分の能力を見える化してくれるツール」なのです。40km走るならこのパワー、180km走るならこのパワー、が分かり、それに従うだけ。なんて簡単なのか(笑)本当にお勧めします。初心者こそ買うべき。

第2章感想

第2章はこのような内容でした。
第3版のパート1に書かれていることをよりシンプルに、的を絞って書いてあるな、と思いました。第3版はもっと教訓めいていたというか、まさにバイブルという厳格さだったのに対し、もう少しシステマティックに書かれてますね。とっつきやすくなりました(笑)

昨年、私がブログで、誰も読んでいないであろう週の練習の振り返りや分析をサボらず書き続けていたのは、この大前提に沿ってのことです。しかし、こうして改めて読んでみると、「目標を達成したか」という視点とは違っていたように思います。計画に沿ってできていたか、それによってどうだったか、というところしか分析できていなかったと思います。今シーズンは目標の明確化とその達成度に拘ってみようと思います。

第2回は以上です。
次からトレーニング理論部分に入っていきます。第3回はトレーニングの原則について。PMC(パフォーマンスマネージメントチャート)のベースになってる部分も出てきますので、TrainingPeaksを使ってみようと思っている人もぜひお読みください(^^)

第3回はこちら:

TTB解説(3)トレーニングの基礎知識(前編)

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