トライアスロンでスイム練習に時間を割くべき理由
前回に続きスイム&シーズンオフがテーマです。
シーズンオフに入るとスイムの練習をしなくなる、プールを休会してしまう、というトライアスリートの方が結構いてびっくりします。え~!せっかく今まで練習してきたのにもったいない!!って思うんですが、たぶんスイムが好きではないのでしょうね。
バイクやランももちろんですが、スイムは特に長期に休むことで泳力が下がります。技術を習得していればその部分はすぐに思い出せても、生活で使う筋肉ではないので衰えやすく再開時が非常に辛い。辛いから練習が嫌いになる、の悪循環です。シーズンオフも週に2回はプールに通いたいところです。
ショートではスイムの比率が高いですが、ロングになると10時間超の中のたった1時間~1.5時間。しかもバイクやランと比べて1分2分短縮するための努力が容易ではありません。それならばスイムは後ろからゆっくりで、バイクやランで抜けば、、、と軽視する方が多いのもよく分かります。
しかし、それでもやっぱりスイムに時間を割くべきだと思うのです。バイクとランで抜かれっぱなしの私が言うのもなんですが(笑)
その理由を解説していきます。
上位2割のバトルが非常に少なく、上位1割はさらに快適
2014年の五島トライアスロンは3800m73分でスイム177位(/約600人)でした。いわゆるボリュームゾーン。1周目はかなりのバトルで相当怖く、常に密集していました。最初から最後まで、誰かの気配を感じながら泳ぎます。これはなかなかのストレスです。
2015年は71分で110位(/650人)。スタートからほぼバトルはありませんでした。周囲で泳いでいる人も安定したスピードなので影響が少なく、触れることになっても避けられます。ブイを回る時も平泳ぎする人はほとんどおらず安全です。
2016年は64分で63位(/700人)。スタートダッシュも少しして集団を抜けたので、誰かの手が当たるような状況はほんの数分でした。さらに、この辺りになると前後の選手はかなり泳ぎが安定しています。一定のリズムでヘッドアップして真っすぐ泳ぐ方がほとんど。なので、その流れに乗れば自分はヘッドアップを減らせますし、スピードの合う人がいればドラフティング効果でかなり楽に泳げます。
さらに上位になると状況は違うのかもしれませんが、このレベルまでは速くなれば速くなるほどレース環境は楽になります。このメリットは非常に大きいと思います。
ただし、ウェーブスタートで後方ウェーブになると抜きっぱなしになって体力は消耗します。それでもウェーブ上位についていくことで前ウェーブの人を避けやすくなるので、ウェーブの上位1割程度を維持していると状況は楽なはずです。
より短いタイムで上がることで体力の消耗を減らせる
ゆっくり走れば強度も下がるバイクやランと違って、スイムだけは長く海の中にいればいるほど体力を消耗します。
また、疲れたからと言って止まって休むことができません。コースロープやブイに捕まれば泳ぎや立ち泳ぎを止めることはできますが、水から上がらなければそれだけで体力は消耗していきます。
(なので本当に疲労が酷く回復させないと進めないと思ったらレスキューのボードに上がらせてもらうべきなのかもしれません。)
また、前述の理由から上位で泳ぐ方がより楽に泳げます。バトルから抜け出そうとするだけで心拍は上がり、ピッチの速い疲れる泳ぎになりがちなので、常に渋滞しているボリュームゾーンで泳ぐことが最も体力を消耗します。
ロング向きの楽に泳ぐ技術を身に着けてスイムを楽に終わることで次のバイクへの影響を少なくできるわけですが、後ろでゆっくり泳ぐよりも、前で楽に泳いで早く海から上がる方が、スイムアップ時の体力消耗は少なくなるように思います。
スイムの上達は、(ある程度までは)体力や筋力に依らない
私はスイムに時間を割いていると言っても週多くて3時間です。ランやバイクより多いわけではありません。また、2時間3時間と練習することもなく、1回の入水時間は毎回45分です。それでも、毎年走り込むバイクとランが3年間そう順位が変わらないのに対し、スイムは着実に順位を上げています。スイムは体力や筋力向上に依らず、技術向上で伸びていくということだと思います。スイムは、時間をかけ「泳ぎ込み」をせずとも、技術集中である程度までは順調に伸びていく。それには泳ぐ「頻度」が重要です。
しかし、いたずらに時間をかけても効果は薄く、技術を上げることに集中しなければ無駄な時間も多いとも言えます(まあこれはすべてのスポーツに言えるのでしょうが・・・)。
スイムは、適切な指導を受けるのが非常に効果的で、移動時間や費用をかけてでもレッスンやパーソナルを受ける意味は大きいと思います。自分の泳ぎをどう直すべきかの指摘を受けられれば、それは自己流練習の何十回分の価値があるでしょう。指導をうまく取り入れることができ、受けた内容を習得するまで反復する熱心さがあれば、バイクランで数年かかる順位のジャンプアップを1年で実行できるかもしれません。毎週トライアスロンスイムスクールに通うよりも、単発のパーソナルを3か月に一度か、動画撮影指導付きのレッスンを2か月に一度、などが効果が高いと思います。
シーズンオフに試したことがシーズンに活きてくる
シーズン中は持久力を重視し距離を泳ぎたいからなかなか技術練習に時間を割けないという方もいると思います(シーズン中も技術練習重視の方が泳力は上がると思いますが)。なので、シーズンオフの時期こそがフォームの抜本的改善を図るチャンス。スイム練習を休むなんてもったいない、むしろ頻度を上げて技術改善に取り組むべき時期だと思います。
これは私も今シーズンオフから始めたのですが、4泳法を取り入れて筋肉の柔軟性を上げたり筋力を上げたり可動域を拡げたりという試みも非常に有効!シーズン中も一部は継続したい練習です。
私は中学の体育以来30歳を過ぎるまで泳いだことがありませんでした(高校にはプールがなかった)。トライアスロンの練習を始めたころのタイムは1500m40分くらい。しかし4年経った今は24分30秒で泳げます。しかし、15分縮まったという成績面よりも、スイムに自信が付いたという精神面の方が断然影響は大きい。スタート時に必要以上に緊張することもなく、スイムラップ中に心の余裕があります。スイムアップ時の疲労も非常に少なく、バイクトランジットも慌てずにできるようになりました。もちろん、バイクラップに与える影響も大きいでしょう。
10分縮めるために練習するのではなく、51.5㎞や223㎞の最初の数㎞を安心してストレス少なく終えるために、このシーズンオフはスイム練習に時間を使ってみてはいかがでしょうか。
お勧めのスイム情報
【お勧めサイト】
スイマーとしても現役のハルさんのサイト。泳法解説や技術解説、練習方法の記事が大変分かりやすく、私はこのサイトのおかげで速くなったと言っても過言ではありません。
ハルさんの「目指せ水陸両用!」
【お勧め参考書】
初心者脱出くらいまでは非常に参考になった2冊です。泳法がというよりも、イメージトレーニングや意識点の把握に非常に役に立ちました。鏡の前でシャドースイムをやったり、それを動画に撮ってスロー再生で確認しながら、このような写真の多い参考書と見比べて改善点の確認をすることはとても有効だと思います。
【お勧めグッズ】
初心者脱出まで使っていた水着です。下半身の浮力を高めてくれるので技術に集中することができます。「脱いだら効果がないから意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、高いボディポジションで練習する効果は高く、身体が沈みがちで動作の多くが浮力に向かってしまう人はそのままではなかなか推進力を得る練習をすることができません。プルブイではキックと連動した練習ができないので、このような浮力パンツは非常に効果的であると思います。
オフも頑張りましょう!(^^)b
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