ロードバイクのリアディレイラー調整の手順
ロードバイクのリアディレイラーの調整方法を解説します。
この順番に書いていきます。
2.それでもやっぱり直らない・・・ワイヤーを貼り直してみよう
3.インナーローからアウタートップまでバッチリ決めたい!動きの幅調整
リアディレイラー調整(1)アジャスター調整
ショップでちゃんと組んでもらったのに、走っているうちになんだか変速がおかしくなってきた。変速のレバーを押しても横のギアに移らなかったり、シャリシャリ音が鳴りっぱなし・・・・。
そういう時にまず試してみる簡易の調整方法です。
リアディレイラーの仕組みは理解していますか?知らなければまずこちらの記事を読んでください。仕組みが分かっている方がスムーズに作業できます。
2-1.変速機編:ディレイラーの仕組みを知ろう(リア)
続いてリアディレイラーの仕組みです。 基本的にはフロントディレイラーと同じ。ワイヤーでチェーンガイドを動かして、チェーンの位置を変える働きをしています。 リアディレイラーの仕組み (1)構造と動き 上から見たところです。フレーム固定部(赤)、可動部(青)、プーリー部(黄色)、から成ります。 フロントディレイラーと違うのはこの2枚の小さなギアが付いているところ。「プーリー」と言います。 2枚のギアを
リアディレイラーは、ハンドル側の変速レバーとワイヤーで繋がって、カチカチとレバーで操作するたびにそのワイヤーが張ったり緩んだりします。それにより、ディレイラーが横に拡がったり、狭まったりするわけです。
ちゃんと取り付けられてワイヤーも適切に張られた状態であれば、アウタートップからインナーローまで気持ちよく変速できます。
しかし、そのワイヤーが緩んできてしまうと、レバー操作によってちゃんと拡がってくれず、変速が決まらなくなってくるのです。
まずは、その張りの調整をしてみましょう。
ワイヤーはディレイラーのワイヤー固定ボルトに固定されています。その横にはワイヤーの張りを微調整するアジャスターがついています。
ブレーキ調整の時にも出てきて説明しました。仕組みは全く同じです。左に回してボルトを緩めると、ワイヤーが張られます。
ややこしいですねー(笑)ネジは右に回せば締まるのでワイヤーも張りそうなイメージですが逆です。ワイヤーを張るためには左に回します。
基本的にはアジャスターは緩んだワイヤーを張るためのものです。左に回すのが基本だと思っておいてください。
では実際にやってみます。トップに合わせてから始めましょう。
クランクを回しながらロー側に変速していきます。途中次のギアに上がらないところが出てくれば、張りが足りません。(ロー側にいくほどワイヤーを張っていくので、ロー側に上がらないということは張りが足りないということです。)アジャスターを少し左に回してワイヤーを張って、またクランクを回します。2-3度やればそれだけで次のギアに移るはずです。
次のギアに移ったら続けてロー側に変速していきます。またどこかで引っかかれば同じように左に回して張ります。逆に「次に移らない」のではなく「2段上がってしまう」「上がった後にシャリシャリ鳴る」現象が出たら張りすぎです。少し右に回し戻してみます。
回す方向が分からなくなったら、「チェーンを動かしたい方向に動かす」と思ってください。大きいギア側(左)に動かしたい時は左、小さいギア側に動かしたい方は右に回します。(きのっぴさんに教えてもらいました!)
最終的に全ての変速がスムーズに上がり下がりするところまで調整を続けましょう。アウタートップからインナーローまで問題なく変速できればそこで完了!おめでとうございます!
これが簡易の調整方法です。どうですか?これならできそうでしょ?多くの場合はこれで直ります!
でも一応この先も読んで下さい(笑)
※シマノの公式マニュアルには少し別のやり方が書いてあるのですが、私はやってみて難しいと思ったので変速をしながら微調整していく方法を紹介しました。興味がある人は「シマノ ディーラーズマニュアル」で検索してRDで始まるマニュアルを読んでみてください。
リアディレイラー調整(2)ワイヤーを貼り直す
アジャスター調整で済んだらいいのですが、残念ながらそういかない場合もあります。
まず、もうこれ以上張れません、って状態にまで張っても直らない時。アジャスターがここまで出ちゃったらアウトです。抜けてしまう危険性がありますので、ワイヤーを張り直しましょう。
本来普通に乗っていてそこまで緩むはずはないのですが、ワイヤーの初期伸びが取れていなかった、ワイヤーの固定ボルトが緩んで固定が甘くなっている、ワイヤーが傷んでほつれている、場合などには張りが足らなくなることは考えられます。ワイヤー交換も視野に入れて張り直し作業をしてみましょう。
また、次の項で説明しますが、そもそもワイヤーの問題ではない場合もありえます。
では、ワイヤーの張り直しをやってみましょう。
ギアはトップにしておきます。トップの時はディレイラーは引っ張られていない元の形なので、この状態でワイヤーを緩みなく固定すれば、これ以上ワイヤーが緩むことはありません。張る一方です。なので、トップにして固定するのです。
ワイヤー固定ボルトを外します。ディレイラーをあいている方の手で握って固定してボルトを回します。
少し緩んでワイヤーが動く状態になればOKです。
次に、アジャスターを右に目いっぱい回してワイヤーを一番緩んだ状態にします。上に出ている部品は中に引っ込みます。
では、ワイヤーを再び固定します。
ワイヤーがちゃんと溝を通っているか確認してください。溝を通っていないとワイヤーが必要以上に傷んで切れやすくなってしまう可能性があります。
分かりやすくするためにボルトを外してみました(実際は外さなくていいですよ)。この溝です。これ。
ここに、こう這わしますよ。
指でワイヤーの先を引っ張って緩みのない状態にして(インナーキャップを掴むと抜けちゃいますよ)おいて、ボルトを締めます。
抜けないようにしっかり締めて、変速チェックをしてみましょう。
固定時に引っ張りが足らなければ一段目からうまく変速できないかもしれません。アジャスターを使って張って行きましょう。2段目に変速した状態でアジャスターを少し左に回して張り、クランクを回す、を繰り返します。2段目に上がればOKです。先を続けましょう。
最終的にこれくらいで収まっていれば適正だと思います。
上の部分が出過ぎてたら、最初の固定の時点でワイヤーが緩み過ぎです。もう一回やり直しましょう。
これでトップからローまでスムーズに変速できれば完了!!おめでとうございます!(笑)
基本的にはここまでできればいいと思います。
これでもうまくいかないときはこの先に進みますが、読んで自分ができるレベルかどうかを判断してください。無理だと思ったら、無理せずプロに頼みましょう。
リアディレイラー調整(3)動きの幅調整
やるやらないはともかくとして、読むだけでも読んで下さい。
一旦仕組みの話に戻ります。
リアディレイラーは変速操作の度にトップからローまで横に動いて隣のギアに移ります。一回レバーを操作した時に横に移動する幅というのは決まっていて、これを調整することはできません。(なお、10速と11速では移動する幅が違います。)
逆に言えば、どこからどこまで動く、という左右のラインが正しく設定されてさえいれば、全てのギアが正しく変速されるはずなのです。
つまり、ディレイラー調整=ディレイラーの動く左右幅を調整してあげること、です。
ここから、ここまで。
では、やっていきます。アーレンキーとプラスドライバーを使います。
まず右側(外側)のリミットを決めます。最も右側にあるのは、ワイヤーが全く張られていない状態。なので、ワイヤーを開放しておきましょう。固定ボルトを緩めておきます。
ここでちょっと、シマノの公式マニュアルを見てみてください。
最小スプロケット外側の線の真下にガイドプーリーを合わせる、って書いてます。
そんな繊細な調整、チェーンが乗っかった状態では無理です!(笑)
本当にばっちり決めたいなら、チェーンを外してこのイラストの状態を作ってからやりましょう。かといってチェーンを外すのは面倒。スプロケットとプーリーに乗ってなければいいので、落としてしまいます。
一旦リアホイールを外します。
ホイール外したらプーリーを前に押してチェーンをたるませてクランクから落とします。
チェーンをかけずに、ホイールを戻します。
ホイールとフレームの間にチェーンがあるのが気になるでしょうが、大丈夫、作業中はホイールは動かしません。
ではまず、トップ側を確認します。「一番外(最小)のギアの外側の線」と「ガイドプーリーの中心」が一直線、がベスト位置。
ほぼよさそうだけどな~~。もうちょっと右かな~~。って感じですね。まあ、不具合を感じていない物なのでこんなものです。これくらいなら問題なく変速機能は働くということですね。一応1mmほど右に動かしておくことにします。
調整に使うのはこのネジです。上の「H」がトップ側の調整ネジです。
ネジを右に回せば、ガイドプーリーは左に動きます。ネジを左に回せば、ガイドプーリーは右に動きます。覚えなくても、やってみれば動くのが見えます。
次にローの位置です。ワイヤーを張ってないのでディレイラーを手で押し込みます。ぐーっと左側に押し込んで、一番奥まで押し込んだところのガイドプーリーの位置を見ます。
ここで、ローが27T以上だとプーリーと接触してしまうと思います。左手でテンションプーリーを引き下げつつ、右手でディレイラーを押し込みます。(※ワイヤーを固定してローまで変速する、でもいいのですが、それでも結局張りが足りなければ遊び分は手で押し込むことになります)
「ローギアの真下」に「ガイドプーリーの中心」が来る、がベスト位置。
ほぼいいかな~って感じですが、心持ち左に寄ってるかな?少し右に寄せておきましょうか。
ロー側の調整ネジは下です。
右に回せばプーリーは右に、左に回せばプーリーは左に移動します。(トップ側とは逆)
しかしトップ側のように回すだけで動くのは見えません。あくまでも限界を広げる・狭めるものなので、左に広げようとネジを左に回しても、押し込んでいる力が一緒であれば動きません。ぐっと押せば広がります。
ぴったり合いました。これで、ディレイラーの動く幅を左右ともキッチリ決められました。
では、チェーンを戻して確認しましょう。
・一旦ホイールを外し、
・クランクにチェーンをかけて
・ホイールを戻します。今度はちゃんとトップにチェーンをかけます。
ワイヤーを固定して張りを調整し(上の固定の仕方になぞってやってください)、トップからローまで変速できるか確認します。
以上です。いかがでしょうか?できそうですか?
どんなメンテナンス本にも書いてある作業なんですけど、ついつい関係のあるとこだけ読んで作業してしまうのが失敗のもとだと思うのです。作業の前に構造、動き、仕組み、作業の全体像を把握してから取り掛かる。これが一番重要だと思っています。
幅調整作業も、ホイール外すなんて面倒なことしなくてもできる人はできちゃいます。でも、ここがベストの場所!というのを一度チェーンなしで確認しておくと、2度目からは調整しやすくなると思いますよ。
では、次回はフロントディレイラー編です。
2-4.変速編:ディレイラー調整をしてみよう!(フロント)
ディレイラー調整、フロント編です。 リアディレイラーより仕組みは単純ですが、ちゃんと理解して間違いなくやらないと簡単にトラブルが起こるので、なんとなくでやらないようにしたい作業です。 力のない女子にはちょっとやりにくい作業もあるのですが、できるとできないでは安心感が違うので是非挑戦してみて下さい。 フロントディレイラーの構造と動き、を読んでない場合は先にそっちを読んで下さい。 [clink …
今回使った工具は、アーレンキーとドライバーとメンテナンススタンド。ちなみに折り畳みのリアスタンドしかないとかなりやりにくい作業があると思います(ホイール外してる間は担いだままになる)。このタイプがあればベスト!
ですが、高いよね~(^^; これでもできます。
そしてチェーンを触るのでこんなことにw
チェーンオイルで汚れた手を洗うのはこれがお勧めです。少量塗り込んで、水で流すだけで落ちます。
できたぜー!のドヤ記事を書くには両手でいじってる写真を撮らなくちゃね~(笑)スマホが付けられる三脚をどうぞ(笑)
できるだけ読んで理解頂けるように書いたつもりですが、分からない!と思われたら是非コメント等でご意見お寄せいただければと思います。
とにかく「やるやらないはともかくとして、読んだ人みんなが分かるメンテ講座」を目指しています(笑)
ご参考になりましたら嬉しいです(^^)
【バイクメンテ解説シリーズ】
1-1.ブレーキ編:ブレーキの仕組みをみてみよう
1-2.ブレーキ編:よくあるブレーキのトラブルと対処方法
1-3.ブレーキ編:ブレーキシューを交換してみよう
1-4.ブレーキ編:ブレーキの調整方法を知っておこう
1-5.ブレーキ編:ブレーキワイヤーの交換に挑戦しよう
2-1①.変速編:ディレイラーの仕組みフロントディレイラー編
2-1②.変速編:ディレイラーの仕組みリアディレイラー編
2-2.変速編:よくあるディレイラーのトラブルと対処方法
2-3.変速編:ディレイラーの掃除と注油
2-4①.変速編:ディレイラーの調整リアディレイラー編
2-4②.変速編:ディレイラーの調整フロントディレイラー編
2-5.変速編:シフトワイヤーの交換に挑戦しよう
3-1.スプロケットを取り外して取り付けてみよう
3-2.チェーンを交換してみよう(準備中)
3-3.CO2ボンベの使い方を覚えておこう(準備中)
3-4.ペダルの取り外し・取り付けをしてみよう
3-5.クランクの脱着と掃除の仕方を知っておこう
番外)知っておきたいクランクの基本キーワード
4-1.バイク輸送の方法いろいろとその比較
4-2.バイク輸送のケースの比較
4-3.バイクをバラして箱に詰めてみよう
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