ロードバイクのブレーキのトラブルと対処方法
女子トライアスリートが一人でバイク輸送と組み立てと調整ができるようになることを支援する目的のこのシリーズ、もちろん男子も堂々とご覧ください!(笑)
ブレーキ編の第2回、よくあるブレーキトラブルと対処方法、です。
メンテ本などを買っても、実際にそのトラブルが起こらないとその項を見ませんし、なんならそのトラブルが起こっていることに気づいてもいないかも。このシリーズを読み物として読んで、知識量を増やしておけばいざというとき思い出せるかもしれません(^ω^)
前回を読んでいない方はこちらから。
1-1.ブレーキ編:ブレーキの仕組みを見てみよう
今回の内容です。
ブレーキが正しい状態でなくなったときにどうすればいいのか。よくあるトラブルを知っておきましょう。
左右どちらかだけ常にブレーキがかかってしまう
ブレーキがかかりにくくなった(握る幅が増えた)
ブレーキが重くなった(握る強さが強くなった、ギシギシする)
こんなこともしたくなってきますね。自分でできることなのかな?
ブレーキシューを交換したい
ブレーキを握る強さを変えたい
ブレーキワイヤーを交換したい
ブレーキを交換したい
定期的にチェックすべきや日々のメンテ方法知っておきましょう。
泥や汚れ、異物は?
清掃と注油はどこをどうしたら?
ブレーキシューの減りや状態のチェック
では、見ていきます。
ブレーキ関連のトラブルとその切り分け・対処方法
左右どちらかだけ常にブレーキがかかってしまう
これはよくあります。フレームにしっかり取り付けられているブレーキも、横から強い力がかかったりすると簡単に動いてしまうのです。輪行の時、バイクラックにかけるときや降ろす時、立てかけていて倒れてしまった時などに起こりやすいです。
ブレーキをかけていないのに左右どちらかのブレーキシューがリムに当たった状態になります。
常にブレーキをかけて走っているので、ペダルは重く前に進みません。そのまま走行すると片方だけシューが減り、正しい位置に戻しても左右の間隔が異なってしまうようになります。また、この状態ではブレーキの制動力も弱く、いざと言う時に止まれないかもしれません。
実は、乗り慣れた人でも軽く触れた状態に気付かず走行している例は結構あります。「あれ?今日、調子悪いな」と(笑)
走行前に必ず目視で間隔をチェックをする癖をつけていれば必ず気づくはずですので、癖付けておきましょう。
常に当たっているのであれば、まずホイールがちゃんとはまっていない可能性を疑い、確認しましょう。
ホイールでなければ、ブレーキが動いて回ってしまっているかもしれません。
左が正常な位置、右がブレーキが動いて向かって右側だけシューが当たっている状態です。目視で分かりますか?
手で直せます。ブレーキ自体を持って、少し力を入れて場所を整えます。左右のブレーキシューとリムの間隔が均等になるように調整して下さい。(ダイレクトマウントブレーキの場合は2点固定なのでこの方法では直せません。センタリング調整ボルトで調整します)
位置を確認します。ブレーキレバーをゆっくり握って、左右のブレーキシューがリムに当たるタイミングが同時になっていますか?ここがブレーキの制動力を決めます。微調整してください。
なお、手で簡単にずれてしまうほどブレーキ自体の取り付け状態が緩いのは良くない状態です。またすぐにずれてしまいます。六角レンチで締められますが、フレームがカーボンだと締め付ける力に注意が必要。ショップに行ってやってもらった方がいいでしょう。
なお、ブレーキシューが常に当たっているのではなく、タイヤを回した時に当たる部分と当たらない部分がある時は、ホイールの問題の可能性があります。「振れている」と言って、真っ直ぐ回らなくなってしまっている状態です。自己メンテは諦めてショップで見てもらいましょう。
ブレーキがかかりにくくなった(握る幅が増えた)
以前より、ブレーキレバーを深く握らなければブレーキがかからなくなった場合です。いくつか原因が考えられます。
【ブレーキワイヤーが伸びている】
ワイヤーは、「初期伸び」と言って新品から最初のうちに数%伸びます。通常は取り付け時に強くグッと張って伸ばし「初期伸びを取る」のですが、それでも伸びてしまう場合もあります。(なので「買って1ヶ月くらいで一度見せに来て下さいね」とショップに言われるのです。)
調整自体は簡単ですが、仕組みはしっかり理解してからにしてください。次の次の更新「ブレーキの調整のしかた」で説明します。
【ブレーキワイヤーが抜けかかっている】
最後に留めたボルトが緩んでワイヤーがずれてきてしまっていることがあります。そのままにしておくとどんどんずれてブレーキが利かなくなってしまうかもしれず危険です。適切な張りに戻して、ボルトを締め直す必要があります。次の次の更新「ブレーキの調整のしかた」で説明します。
【ブレーキワイヤーがどこか傷んでほつれている】
危険な状態です。強くブレーキをかけた時にブチっといってしまうかもしれません。早めに交換しましょう。
3回後の更新で「ブレーキワイヤーの交換に挑戦してみよう」を書きますが、作業ハードルはそれなりに高いです。専用工具もいります。ここはショップに依頼しても全く恥ずかしくありませんよ。
【ブレーキシューが減っている】
ブレーキシューが摩擦ですり減り薄くなって、シューとリムの間隔が広くなっているかもしれません。ブレーキシューは、溝が無くなったら交換時期です。ブレーキシューの交換をしましょう。
次の回で「ブレーキシューの交換をしよう」を書きます。
ブレーキが重くなった(握る強さが強くなった、ギシギシする)
ワイヤーの張りが勝手に強くなることはないので、ブレーキ自体の動きが悪くなっているか、ワイヤーの動きが悪くなっていることが考えられます。ブレーキの可動部分に何かが詰まっている、汗や塩分を含むドリンクがかかったままになって錆が発生している、など。
掃除をして注油し、改善するか確認しましょう。
ブレーキの清掃をして改善しなければ、ブレーキワイヤーのグリスが切れてワイヤー同士で摩擦が起こっている可能性があります。ワイヤー交換で改善されると思います。
その他のトラブル
・ブレーキをかけるとキー!やシュシュシュシュ~と音が鳴る→ブレーキシューの当たり方が原因のことが多いです。
【片方に偏っている】
上の「リムに当たってしまっている」時と同じですが、手でやっても微妙なところで直せない場合には、ブレーキについている調整用のボルトで調節できます。何度も触ると緩みやすくなるので、ここは一度ショップに相談した方がいいと思います。
【ブレーキシューの角度】
ブレーキシューとリムの間隔をシューの両端で変えてブレーキシューの当たりかたを調整すると、音鳴りを防止することができます。(「トーイン」と言います。)専用の工具もいるのでショップに相談しましょう。
・長い下りでブレーキをかけ続けた時に細かく振動しハンドルに伝わってくる
上記のブレーキシューの当たりの状態によって起こることもありますし、ブレーキシューの表面やリムが汚れている場合にも起こります。綺麗に掃除しましょう。(後述)
こんなこと自分でできるかな?
ブレーキシューを交換したい
ブレーキシューが減って溝が無くなっている・・・ショップに依頼すれば、ブレーキシュー代と工賃でやってもらえるでしょうが、自分でやってもいいの?
作業自体は難しくありません。ただし、交換後にリムとの間隔の調整が必要です。次回「ブレーキシューの交換」、その次に「ブレーキの調整のしかた」を説明します。参考にしてやってみてください。
ブレーキを握る強さ(握り幅)を変えたい
ショップで完成車を買って調整もしてもらったものの、どうにも握りがしっくりこないこともあります。
一例として、手の小さな女性はブレーキシューとリムの間が広めの方が楽に取り扱えるのですが、ショップでは狭めにしていることが多いようなのです。
ブレーキシューとリムの間隔が狭いと、ブレーキレバーが遠く手を広げた状態で力をかける必要があります。これは手が小さな女性には少し辛い。下りが続くと手が攣りそうになります。シューの間隔を広めにしておくと、軽く握った状態から握りをコントロールできるので力が入れやすいのです。
次の次の回で「ブレーキの調整の仕方」を書きます。参考にして調整してみてください。
ブレーキワイヤーを交換したい
結構作業ハードルが高いです。バーテープの交換がセットなのと、ワイヤーカッターもいります。しかしブレーキ自体の場所を動かさなければワイヤーを這わして張りを調整するだけなので、挑戦してみてもいいでしょう。しかしやったあと必ず詳しい人にみて貰いたいところです。ブレーキ編の最後で作業を解説します。
ブレーキを交換したい
難易度が高いです。ショップに依頼しましょう。
日々のメンテナンスについて
雨の日に走行したり、土の道を走行したりすると、ブレーキに泥や異物が入り込むことがあります。走行後速やかに取り除いておきましょう。
ホイールを外した方がやりやすいです。このタイプのメンテナンススタンドにかけるか、
上下ひっくり返して、古い歯ブラシなどで泥を取り除きます。(下には新聞紙を)
汚れがべったり付いているようならパーツクリーナーをかけて汚れを吹き飛ばし、その後丁寧に油汚れを拭き取ります。
掃除の後には、可動部に注油をしますが、ブレーキの注油は結構難しいです!絶対にブレーキシューに油が付かないようにして下さい。使っていない新しいウエスでシューを守りながらやる感じ。使ったウエスで触らないように!(笑)注油の場所はブレーキレバーを握ったときに動くところです。
ブレーキを握ったまま作業はできないので、輪ゴムなどでギュッとしておくといいですよ。
最後、はみ出たオイルを拭き取っておきます。
ブレーキシューの状態も定期的にチェックしておきたいところです。減りの他、ブレーキシューの表面をチェックします。表面に金属片や異物が埋まってしまっていると、ブレーキをかける度にホイールを傷つけているのです。
キリなどで異物を取り除けばいいですが、あまり大きなものが埋まっていたり数が多い場合はシューの交換をしましょう。
ブレーキシューが当たる方、ホイールのリムの方も綺麗にしておきます。ウエスにパーツクリーナーをしみこませて、優しく拭いてあげます。パーツクリーナーはタイヤに悪いので直接かけるのはNGです。なお、リム掃除のウエスも他のところを拭いた物の再利用禁止です!使い捨ての紙が一番~!(最後に紹介してます)
では次回は、ブレーキシューの交換について説明します。
今回の記事で使った物やお勧め商品・・・
ウエス)
うちは息子の小さくなったTシャツがいっぱいあるのでそれを切って使ってますが(笑)掃除用の不織布を用意しておくとガンガン使えます。
メンテスタンド)
私は折り畳みタイプよりこっちが使いやすいです。後輪を外した状態でもメンテナンスできるので便利。
しかもこれ、安い!!
メンテ後の手洗い用品)
オイルなどが付いたらなかなか落ちませんよね~>< そのあとすぐご飯を作ったりするので手洗いが大変です。
このハンドクリーナーを擦り込んで水で流すとあっさり落ちます。
パーツクリーナーは安いのでエーゼットのこれを使ってます。大量にあるのでガンガン使えます(笑)
潤滑油はワコーズのメンテループです。
【バイクメンテ解説シリーズ】
1-1.ブレーキ編:ブレーキの仕組みをみてみよう
1-2.ブレーキ編:よくあるブレーキのトラブルと対処方法
1-3.ブレーキ編:ブレーキシューを交換してみよう
1-4.ブレーキ編:ブレーキの調整方法を知っておこう
1-5.ブレーキ編:ブレーキワイヤーの交換に挑戦しよう
2-1①.変速編:ディレイラーの仕組みフロントディレイラー編
2-1②.変速編:ディレイラーの仕組みリアディレイラー編
2-2.変速編:よくあるディレイラーのトラブルと対処方法
2-3.変速編:ディレイラーの掃除と注油
2-4①.変速編:ディレイラーの調整リアディレイラー編
2-4②.変速編:ディレイラーの調整フロントディレイラー編
2-5.変速編:シフトワイヤーの交換に挑戦しよう
3-1.スプロケットを取り外して取り付けてみよう
3-2.チェーンを交換してみよう(準備中)
3-3.CO2ボンベの使い方を覚えておこう(準備中)
3-4.ペダルの取り外し・取り付けをしてみよう
3-5.クランクの脱着と掃除の仕方を知っておこう
番外)知っておきたいクランクの基本キーワード
4-1.バイク輸送の方法いろいろとその比較
4-2.バイク輸送のケースの比較
4-3.バイクをバラして箱に詰めてみよう
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