フロントディレイラーの仕組み【画像で解説】

バイクメンテナンス

女子トライアスリート、女子ローディにも是非バイクをいじれるようになって欲しいな〜と連載しておりますバイクメンテ講座、変速編です。

ディレイラーの調整をやってみようと本やサイトを見ても分からない。分からないなりに弄ってたらもっとおかしくなった、なんてことはありませんか?

私はあります(笑)ええ、最初の頃はそれはもうぐちゃぐちゃにwww

まずは、いじる前に、構造と動きを知りましょう。そうすれば作業も理解しやすくなります。触るのはそれからです。
今回もブレーキ編と同様に、ご自分のバイクを横に置いて同じ動きをやってみながら、動きを確認しながら読み進めて頂けるといいと思います。

変速機は前側の「フロントディレイラー」と後側の「リアディレイラー」に分かれます。まずは単純なフロントディレイラーから見ていきます。

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フロントディレイラーの仕組み

フロントディレイラーの構造と動き

まず構造を見てみましょう。後ろから(長い部品の方から)見た角度です。

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固定部(赤)、可動部(青)、ガイドプレート(黄色)、から成ります。

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赤い部分がフレームに固定されて動かない部分。青い部分が動いて、黄色い部分のガイドプレートを左右に動かします。

強いバネの力で、何もしていなればガイドは左に寄っています。ワイヤーで引っ張ることで、ガイドの位置を右に動かせるような構造になっています。

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取り付いていないと手では動かせないのでバイクの方で見てみますね。

(左)ガイドは左に寄った状態。(右)ワイヤーで引っ張ってガイドが右に動いた状態。

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このように、フロントディレイヤーに接続されたワイヤーを引っ張ることで可動部が動いてガイドが右に移動する、という構造です。
この動きとチェーンの位置を見てみましょう。

ディレイラーが引っ張られていない状態ではガイドは左にあり、チェーンはインナーに落ちています。

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これをワイヤーを引っ張ってガイドを右に動かすと、チェーンがアウターに移動します。

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実際にご自分のバイクでフロントの変速をして、フロントディレイラーが閉じた状態からどう開いてガイドの位置が変わるのかを見てみてくださいね。

フロントディレイラーの変速の仕組み

では、別の方向から見て、この動きによってなぜ変速されるのか見ておきます。

インナーからアウターの動き

この写真ではガイドは内側にあり、チェーンはインナーに落ちています。

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これを、フロントの変速レバーを操作してワイヤーを引っ張ることによってガイドが外側に移動し、チェーンを外に押し当てます。

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その状態でクランクを回転させると、大きなチェーンリングの裏にあるレールに沿ってチェーンが上がっていき、アウター側にチェーンが乗ります。

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変速して適切な位置に収まったガイドは、アウター側のチェーンの動きに触らないようになっています。

アウターからインナーの動き

逆にインナーに落とす時は、ワイヤーの張りを解放しディレイラーを元の形に戻すことでガイドが内側に寄ります。

この位置では、アウターにチェーンが乗り続けることはできず、内側に落とされます。それにより、インナー側のチェーンリングにチェーンが移ります。

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という、ガイドが左右に動くことによって、チェーンをアウター、インナーと移動させているわけです。これが、フロントディレイラーの仕組みです。

 

シフトレバー側の構造と動き

では、ワイヤーの張りを操作するハンドル側の動きも見ておきましょう。

写真の変速レバーはTIAGRAで、ワイヤーの位置が他のタイプとは違いますが、仕組みは同じです。フロントディレイラーと左のコントロールレバーが繋がっていて、レバーの中にワイヤーが通っています。

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ワイヤーを張っていないインナーの状態では、シフトワイヤーの先端は中に入った状態になっています。

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これを、レバーを押し込んでアウターに変速しようとすると、ワイヤーの頭が見えてきます。外側に出てきました。

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元の位置から、外側に引っ張って止まることにより、ワイヤーを張り、フロントディレイラーを引っ張っています。

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という構造になっています。

正しく変速するためには

では、この動きをするために、必要な要素を理解しておきましょう。

まず、フロントディレイラーが正しい位置に取り付けられていること。

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ガイドが下過ぎたり斜めになっていてチェーンリングに当たれば、変速以前に回転の度に摩擦が起きて走ることができません。(火花出るかも?)
ガイドが内側にある時には、インナーのチェーンリングにかかっているチェーンと接触しない位置にあること。

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かつ、内側過ぎないこと。内側に寄せ過ぎていると、チェーンが中に落ちます。

 

そしてワイヤーが緩みのない状態で固定されていて、シフトレバーを引っ張った時にガイドプレートが適切な幅で外側に動くこと。
外側にある時には、アウターのチェーンリングにかかっているチェーンと接触しない位置にあること。

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かつ、外側に寄せ過ぎていないこと。

そして、ワイヤーが適切に張られて、そのガイドの位置が保たれていること。ワイヤーが伸びたり、ワイヤーの固定部が緩んでずれてきたり、ワイヤーが傷んでほつれてきたりすると、最初の設定通りにはディレイラーが動いてくれなくなります。

いかがでしたでしょうか?動きは単純なので、理解しやすかったのではないでしょうか。

では、次回はリアディレイラーを見ていきます。基本的には同じですよ。

 



バイクメンテ解説シリーズ

1-1.ブレーキ編:ブレーキの仕組みをみてみよう
1-2.ブレーキ編:よくあるブレーキのトラブルと対処方法
1-3.ブレーキ編:ブレーキシューを交換してみよう
1-4.ブレーキ編:ブレーキの調整方法を知っておこう
1-5.ブレーキ編:ブレーキワイヤーの交換に挑戦しよう

2-1.変速編:ディレイラーの仕組みをみてみよう
フロントディレイラー編
リアディレイラー編
2-2.変速編:よくあるディレイラーのトラブルと対処方法
2-3.変速編:ディレイラーの掃除と注油
2-4.変速編:ディレイラーの調整方法を知っておこう
リアディレイラー編
フロントディレイラー編
2-5.変速編:シフトワイヤーの交換に挑戦しよう(準備中)

3-1.スプロケットを取り外して取り付けてみよう
3-2.チェーンを交換してみよう(準備中)
3-3.CO2ボンベの使い方を覚えておこう(準備中)
3-4.ペダルの取り外し・取り付けをしてみよう
3-5.クランクの脱着と掃除の仕方を知っておこう
番外)知っておきたいクランクの基本キーワード

4-1.バイク輸送の方法いろいろとその比較
4-2.バイク輸送のケースの比較
4-3.バイクをバラして箱に詰めてみよう