ロードバイクのコンポーネントを全交換したときの苦労話【必要な工具も】
エントリーモデルのロードバイクを買ったけど、コンポーネントをグレードアップしたい!ってケースはよくありますよね。
私も、6年ほど前、Tiagraのカーボンバイクを入手したものの、元乗っていたバイク(105)からブレーキ周りだけでも変えたいと思い、メンテナンスの勉強も兼ねて自分で入れ替えることにました。レンチとペンチの違いも分かってない機械オンチ女の挑戦です(笑)
でも、結果的にこれをやったことでバイクの構造が完全に理解でき、ちょっとしたメカトラは全て自分で直せるようになりました!
自分でコンポーネントの交換をしたいなら、まず作業全体を把握すること。
この記事を読めば全体が分かります。この記事を最後まで読めたら自分でできる!かも!
目次
・(1)作業の勉強と把握
・(2)物品購入
・(3)旧バイクからパーツ取り外し
ブレーキの交換
クランク・BBの交換
シフター・ケーブルの交換
ディレイラー・チェーンの交換
コンポセットの価格(参考
コンポーネント入れ替えのためにやった準備
まず、作業の勉強と把握、準備から始めました。作業を始めたはいいが途中で工具が足らなくてできないなどということにはなりたくなかったので。
参考にした教科書は基本的にこれ一冊です。
あと、困ったときはシマノのサイトでディーラーズマニュアルを読みました。
(1)作業の勉強と把握
教科書を読みながらパーツが取り付けられている位置や状況を確認し作業のシュミレーションをしていきました。
各作業中に出てきた工具で持っていない物をリストアップしました。
合わせて、交換作業で新たに必要な物をリストアップしました。ケーブルやバーテープなどですね。
(2)物品購入
リストアップした工具や物を自転車屋に買いに行きました。
持っているものがあったので個々に買い足しましたが、これからならツールセットを購入するのが近道です。なんだかんだでいろいろやりたくなってくるので。
(3)旧バイクからパーツ取り外し
旧バイクから105を取り外して清掃しました。
作業中に、取り付け時に困らないように取り付け状態やボルトの強さなどを確認してメモしておきました。
ここから先の作業は、長引くとバイクに乗れない期間が延びるのでできるだけ一日でやってしまうつもりでした。なので、途中でググらないといけないことがないように、先に調べて手順化しておいたわけです。結果的にこれのおかげで途方に暮れることはなかったですし、わからないまま適当にやってしまう羽目にはなりませんでした。
めんどくさがらずに、ここまでの「勉強とシミュレーションと手順メモ作成」をしておくことが、初心者がコンポ交換を成功させる唯一の方法ではないかと思います。
ブレーキの交換
ブレーキは特に早く変えたかったので、先に作業しました。
ブレーキ取り外し
ブレーキインナーケーブルを切ってフィクシングボルトから抜き、ヘッド下のボルトを緩めて外しました。
作業しにくいので斜めからでも回せるボールポイントのアーレンキーが便利だと思います。
キャリバーごとスポッと取り外せます。
ブレーキの取り付け
新しいブレーキにブレーキシューを取り付けました。
ブレーキ本体をフレームの穴に差し込んで取り付けます。前後違うので間違えないように。
ブレーキシューの当り位置の調整をしました。
アーチを握ってシューをリムに押し付けた状態でボルトを固定するんですが、ブレーキキャリバーを握りながらボルトを締めるのが超難しい!!
結局ケーブル通してある程度張ってないと作業しづらかったので、調整はケーブル交換の後がいいです。
前後とも取り付けて完了です。
ブレーキ交換自体は特別な工具も要らないし、難易度は高くないと思います。ただしブレーキケーブル交換が必須なのでその作業ができることが条件。
外した方が断然掃除しやすいので、できて損はない作業です。
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。ブレーキ編は5回あります。
1-1.ブレーキ編:ブレーキの仕組みをみてみよう
クランク・BBの交換
クランク取り外しと清掃
クランクアームを固定してある横のボルトを緩めて抜きます。
外れ止めプレートをマイナスドライバーでツンツンして浮かせて、
クランク取り付け工具でボルトを緩めました。
これがいります。
ここは締めすぎてはいけないようなのです。取り付ける時のためにだいたいの感覚を確認しておきました。
クランクアームを抜きます。簡単にスポッと抜けました。
右のクランクも抜きます。こちらもさほど力はいりませんでした。
BB取り外しと清掃
左アダプターから外します。専用の工具を使います。(ボトムブラケットレンチ)
爪を合わせて、工具をグイっと押します。
かなり硬いです。最初ビクともしなかったんで焦りました。
フレームをしっかり持って固定して、工具のアームにぐっと体重をかけて前に押したら一気に緩みました。
あとは手で回して緩めれば、スポっと抜けます。
右アダプターも同じように外します。回す方向が逆になりますね。どちらも前方向(進行方向)に工具を回します。
こっちも同様に硬かった~~!!
中途半端に座って作業しないで、しっかり立ってフレームを握って固定し、工具のアームを下に下ろす!感じです。
右はアダプターだけです。
インナーカバーとアダプターの方向を間違えないように確認しておきました。
ちゃんとL-Rのマークがあるので大丈夫そうです。ウエスを何枚も使って綺麗に掃除しました。
ここはパーツクリーナーを直接振ってはいけないところなのでウエスだけで丁寧に古いグリスを拭き取りました。
BBを抜いた穴の古いグリスや汚れも、丁寧に拭き取りました。
BBのグリスアップと取り付け
グリスをネジ山に塗りこみます。
ハンガーの中にもグリスを塗りこみ、右アダプターを組み付けます。
組み付け工具で、しっかり体重をかけて締め付けておきました。
左アダプターも同じようにグリスを塗って、インナーカバーに付けてから、しっかりと組み付けます。
クランクのグリスアップと取り付け
右クランクから取り付けて行きます。シャフトをまっすぐ奥まで差し込みます。
左アームのネジ穴にグリスを塗りこみ、アームを取り付けます。
このぽちっと丸いのが上です。
右アームと反対側になっていないといけません。
一度反対に付けました(笑)両足一緒に踏む「変わり自転車」みたいなクランクになってた(笑)
外れ止めプレートを差し込んで、クランクアームボルトを締めます。専用工具使用。
きつく締めると、明らかにクランクの回りが悪くなりました。緩めるときもかなり軽く回ったので、軽く締めておきました。
クランク取り付けボルトを締めます。
交互に締めていき、トルクレンチで12ニュートンメーターまで締めました。
動きに引っ掛かりがないか、異音はないか確認して完了です。
BBの交換はカートリッジ式ならこうやってできますが、圧入するタイプは素人にはできませんので自転車屋さんにGOです。
クランク交換は簡単ですね。でもトルクレンチは買いましょう。
私はこれを使ってます。
シフター・ケーブルの交換
シフターとインナーケーブルの取り外し
(事前作業)
・フロントをインナー、リアをトップに変速しておく。
・バーテープをはがす。
・取り付けバンドがついている位置にマーキング。
・インナーケーブル4本を切ってボルトを緩めてリリースしておく。
ブレーキインナーケーブルをシフターから抜きます。
ブレーキを握って、キャリバー側からケーブルを押せばヘッドがぽこっと出てきます。
そのままでは摘みにくかったので、マイナスドライバーでひっかけて浮かせました。
丁寧にゆっくり最後まで抜きました。どう繋がってるかちゃんと覚えとかないと後で焦ります(笑)
次にシフトインナーケーブルをシフターから抜きます。
接続部分それぞれを解放してから、ケーブルを切った方からツンツン押せば、シフターの横から頭が出てきました。
ここでフロントはインナー、リアはトップになってないと頭が巻き込まれていて抜けません。事前作業大事。
丁寧に抜いていきます。
アウターケーブルが外れるので、どっかいってしまわないように気を付けましょうw
ケーブル類が外れたら、ハンドルからシフターを外します。
シフターのカバーをめくると、外側にボルトが見えるので5mmのアーレンキーを突っ込んで緩めます。
取り付けバンドが緩むので、取り付けバンドごとハンドルから抜きました。
今回はアウターケーブルは取り替えませんでした。
シフターの取り付け
(事前作業)
・ブレーキキャリバーを外していたら取り付けておく。
・ディレイラーを外していたら取り付けておく。
ハンドルの先から取り付けバンドを通していき、ブレーキアウターケーブルを差し込んで、マーキング位置に固定します。
ブレーキケーブルの取り回し
ブレーキインナーケーブルを通して行きます。新しいブレーキインナーケーブルの先にグリスを塗りストッパーの穴から差し込んで通しました。
なかなか通らなかったので、一旦取り付けバンドを緩めてアウターケーブルの差し込む角度を調整しました。
ブレーキキャリバーまで通したら、フィキシングボルトに通して留めます。
フロントは難なくでしたが、リアは苦労しました(;´Д`A
理由はフレームの構造。フレームの中を通す穴をなかなか抜けてくれなかったのです。
いろいろ試しましたが、逆の穴から余ったケーブルなどを差し込んでおいて道を作ったら通りました。
いやー、焦ったわー。1時間くらい格闘したで(笑)
ケーブルを通せるようになっているフレームの場合はかなり苦労します。たぶんプロはコツが分かってるんだろうなあ。
最後アジャスターでブレーキの強さを調整して終わりです。
やり方はこちらの記事でどうぞ。
1-4.ブレーキ編:ブレーキの調整の仕方
1-5.ブレーキ編:ブレーキワイヤーの交換に挑戦!
シフトケーブルの取り回し
続いてシフトインナーケーブルを取り付けます。
新しいシフトインナーケーブルの先端にグリスを塗ってシフターの外側の穴から通し、アウターケーブルを通して、接続先に繋いでいきます。
フロントは左側のアジャスターを通して
フレームの下を通ってBBの下のガイドから
穴を抜けて上に。穴はないかも。
アジャスターを時計回りにいっぱい回して張りを緩めておき、ケーブルを引っ張って遊びがない状態にしてフィキシングボルトに通して締めます。
フレーム下で大胆にケーブルを引っ張って初期伸びを取り、
もっかいボルトを締め直し。
ケーブルを切ってエンドをつけてかしめました。
リアが苦労しました。
シフターにケーブルを最後まで通した時に、ケーブルヘッドが正しい位置に入っていなかったようです。
いくらカチカチしてもディレイラーが動かないので何度かやり直しました。
トップギアでこの状態(ちょっと頭が見えてる)が正しい。
リアは右のアジャスターを通して、
フレームの下を通してBB下のガイドを通して、
リアディレーラーに向かい、アウターケーブルを通して
アジャスター経由フィキシングボルト。
アジャスターを時計回りに回しておいてケーブルが張ってない状態にし、ケーブルを引っ張って遊びがない状態でボルトを締めます。
フレームの下でケーブルをぐいっと引っ張って初期伸び取ってからもっかい張り直し。
ケーブル切ってエンドをつけてかしめときます。
各場所、ボルトを締め直して、バーテープを巻いて完了です(^_^)
シフターの交換は別に難しくないんですが、
インナーケーブルの交換作業とその後の調整作業が大変ですね。逆にここが何回か経験あるならシフター交換は簡単です。
ディレイラー・チェーンの交換
リアディレイラーの取り外し
リアンテナンススタンドを使っていると作業がしにくいので取り外し・取り付け作業の時だけ外しました。
後からハンガータイプのワークスタンドを買いましたがメチャクチャ作業しやすいです。
そう高くもないので、コンポ入れ替えするなら絶対買ったほうが良いです。
アーレンキーでフィクシングボルトを緩めて外します。
リアディレーラーの取り付け
固定ボルトのネジ山にグリスを塗り、フレームに取り付けました。
シフトインナーケーブルを張ってフィクシングボルトに取り付けておきます。
フロントディレイラーの取り外し
アーレンキーでフィクシングボルトを緩めて外します。
ディレイラーの取り付け
★失敗★
旧バイクの105のフロントディレイラーが現バイクのフレームに付きませんでした。
径が合わなかったのです。
確認しろよ!って言われるでしょうが、確認することだとも認識してませんでした。
フロントディレイラーを購入するときは、「バンドタイプ」「直付けタイプ」「シートチューブの径(「28.6mm」「31.6mm」「34.9mm」)」に注意です。
フロントディレイラーをフレームに取り付けます。(外したものをもう一回取り付けましたw)
リングと平行に高さはアウターギアから0㎜~0.5㎜離して。
ボルトをしっかり締めておきます。
シフトインナーケーブルを張って、フィクシングボルトを締めておきます。
チェーンの取り付け
あらかじめついていたチェーンと同じ長さに切ったチェーンを取り付けていきます。
作業中の写真が撮れなかったので、なんとなく分かってください(笑)
1)チェーンの「外側」を左(後ろ側)にしてアウターギアにかけ、
2)フロントディレイラーのガイドの間を通してリアディレイラーへ。
3)スプロケットのトップギアに乗せて
4)上のプーリーの右側に沿って(ガイドの内側)
5)上プーリーの下を左側方向に沿わせて
6)下プーリー左側のガイドの内側を通して
7)下プーリーの下を沿わせながら、フロントギアに乗ってるチェーンの端と繋ぎます。
チェーンを繋ぐピンを入れて、チェーンカッターでグリグリ回して押し込みます。
最後まで入ったら突き抜けた余りをパキッと折って、指で馴染ませたら終わりです。
チェーンカッターが必要です。普段からツール缶に入れておきたい工具です。
ディレイラーの調整
調整はこちらを見ていただくとして、
ディレイラー調整をしてみよう!(リア)
ディレイラー調整をしてみよう!(フロント)
失敗談を書きたいと思います。
この時、前後で2時間くらい格闘しましたorz
その原因は
1、シフターにケーブルがちゃんと入ってなかった
2、ちゃんと張らずに緩い状態でボルトを締めてた
3、アジャスターの時計周りと反時計周りが分かんなくなった
の三本です(笑)んがぐっぐw
でも一番は、
構造を理解できてないまま教科書頼りにネジ回してただけだったから、だと思います(^◇^;)
リアは、
・アウタートップの時にトップの位置にプーリーを合わす。
・インナーローの時にローの位置にプーリーを合わす。
・アジャスターを回すことで張りを調整して全ギア間で変速できるようにする。
フロントは、
・アウターの時にガイドに接触しないようにガイドの位置を調整する。
・インナーの時にガイドに接触しないようにガイドの位置を調整する。
・アジャスターを回すことで張りを調整し変速できるようにする。
ものすごくシンプルに言えばこれだけ。
いやー格闘して理解してできたからそう書けるけど、途中で投げ出しかけて晩ご飯作りに逃げたからねwwww
お鍋つつきながら、旦那に「あかんわ、、、もう無理、、、」って嘆いて、
片付けてから再チャレンジしたらでけた(笑)
困ったら、とりあえず部屋を出て小一時間別のことしましょう(笑)
理解できてからは早かったです。おかげで、旧バイクのディレイラー調整作業なんて15分でした(笑)
以上、コンポーネント載せ替え記、完了です。
適切な参考文献と工具を揃え、そして仕組みを理解できさえすれば、機械オンチのおばちゃんでもコンポーネント全交換できました。
触ってはいけないところもあるし、整備不良で危険な目に遭うこともあるだろうからそう誰にでもお気軽にという気はないのですけれど、
やってみたいと思っているけど二の足を踏んでいるという方は、まずメンテの本を片手にバイクを隅々まで眺めることから始めてみてはいかがでしょうか。
あれもこれも工具を調べて買うのが面倒という方は工具セットがコスパもいいしお勧め。
コンポ総入れ替えなんかするなら、ワークスタンドは欲しいところです。時間短縮にもなります。
そして取り返しのつかないことにならないようにトルクレンチを!これはクランク交換だけでもいります。
コンポセットの価格(参考)
さあでは、コンポセットの価格を見ておきましょうか。全て機械式です。
105が57000円くらい。
アルテグラで86500円。
デュラエースで181000円。
Wiggle、CRCともにシマノのグループセットの取り扱いなしです。アルテグラR8000で8万切ってたら安いかな。
ちなみに電動化をお考えなら、
アルテグラ外装セットで120000円
デュラエース外装セットで200000円
次回は、その電動コンポに全とっかえした作業記録を投稿します。ではでは。
【バイクメンテ解説シリーズ】
1-1.ブレーキ編:ブレーキの仕組みをみてみよう
1-2.ブレーキ編:よくあるブレーキのトラブルと対処方法
1-3.ブレーキ編:ブレーキシューを交換してみよう
1-4.ブレーキ編:ブレーキの調整方法を知っておこう
1-5.ブレーキ編:ブレーキワイヤーの交換に挑戦しよう
2-1①.変速編:ディレイラーの仕組みフロントディレイラー編
2-1②.変速編:ディレイラーの仕組みリアディレイラー編
2-2.変速編:よくあるディレイラーのトラブルと対処方法
2-3.変速編:ディレイラーの掃除と注油
2-4①.変速編:ディレイラーの調整リアディレイラー編
2-4②.変速編:ディレイラーの調整フロントディレイラー編
2-5.変速編:シフトワイヤーの交換に挑戦しよう
3-1.スプロケットを取り外して取り付けてみよう
3-2.チェーンを交換してみよう(準備中)
3-3.CO2ボンベの使い方を覚えておこう(準備中)
3-4.ペダルの取り外し・取り付けをしてみよう
3-5.クランクの脱着と掃除の仕方を知っておこう
番外)知っておきたいクランクの基本キーワード
4-1.バイク輸送の方法いろいろとその比較
4-2.バイク輸送のケースの比較
4-3.バイクをバラして箱に詰めてみよう
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